はるろぐ

アラフォー放浪女子の日常。

楽しそうな人

いくつか前の職場で、温泉宿のフロントをしていた時のことを思い出した。

 

わたしは午後からの出勤だったのだけれどその日は職場のグループLINEが朝から忙しなく動いていて、出勤前に確認したら要約すると

「大浴場の一部が故障して入れない!今日は直りそうにない!」

ってことだった。

 

温泉宿なのに?

温泉に入れない?

ふぁーーー?

 

と思いながらとりあえず出勤。

 

幸いにも高稼働ではなく、

お風呂つきのお部屋へのアップグレードと、

貸切用のお風呂の解放でなんとかなった!

 

チェックイン時にひと組づつご説明して、

怒るお客様もなく(恵まれていた。ありがとう)

ひとまず落ち着いて。

 

元々がお風呂付きのお客様に、旨みがないことに気づく…

社員と相談してバーでワンドリンク無料にしようということに。

 

 

お部屋伝えに行ったときに、1人のおばあちゃまの返答が印象深かった。

 

 

「温泉宿なのに大浴場が使えないなんて面白いわ!

しかも明日には直るんでしょう?

私は今日の一泊しかしないのに!

今日が正に入れないのよね?」

 

謝る私に更に続けるのだ。

 

「責めてないのよ。

それにあなたは何も悪くないでしょう?

謝らなくていいの。

面白い日に泊まったわ。

若い従業員しかいないのにしっかり対応して、充分のことをしているじゃないの。

ドリンクまでいただけるの?

是非伺うわ!」

 

と。

 

夜のバー開店と同時にいらっしゃって、話を聞かせてくださった。

 

60歳を過ぎてから初めて海外に行ったらハマってしまったこと。

今ではあちらに友人がいて、コロナが治まったらまた会いに行くと決めていること。

友人がいかに素晴らしい人であるかということ。

人生は面白い体験がたくさんあって、今日もそのひとつだということ。

 

凄すぎるとおもった。

目玉の温泉が無いことを楽しめる人生なんてなんて素敵だろうかと。

 

私ならがっかりしてしまうだろう。

また1人、尊敬する人が増えた日。

 

元気かな、あのおばあちゃま。

 

いつかまたどこかで会えたらいいのに。

 

 

はるか